神様のきまぐれ
「だって、オマエ、
志央に取られるよ?

どーせ、ちゃんと
言ってないんでしょ?
大事なコト。」

元田は呆れた眼差しで
俺をみた。

確かに、
何一つ、ゆってない・・・。

この事実には、
グの音もでない。

「だーから、
先手必勝だっつうの!!
感謝しろって。」

「何が感謝だよ。」

通路の真ん中で、大人げなく、
言い合いする自分達に、
突然声がかけられる。


「あの・・・。


もしかして・・・。」




バレた。




「カルディナの・・・。」


ダメだな。これは。


「元田さんと、
日向さん・・・じゃ・・。」


渇いた声。


元田が、無言で
うなづいた。


一瞬の沈黙を破って、
青年の声が続く。


「あのっ!!俺!

・・宝タクトって、いいます。」



「宝・・?」


どこかで聞いた名前。


元田も、心辺りを探るような
表情をしている。


「宝陽子(ヒナコ)の
弟です。」


「あっ!?」

そう言われて、二人して、
青年の顔をみた。



似てる・・・。


元田は、大笑いしていて、
タクトは明らかに、
ムッとした顔をしてみせた。


 
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