神様のきまぐれ
沈黙しているのも、
変な話だろうと、
慌てて口を開きかけたが、
元田の言葉が遮った。

「そーだと、ね。皆思ってる。
まあ、日向の片思いかもね♪
そうだったら、
笑ってやってね。タクト。」


イタイ冗談に、
ひきつりつつも、
笑うしかなかった。


「しかし、キレーな海だな。」


わざと話題を変えた。


俺が、
気持ちを伝える事が
あるとしたら、

その相手は

タクトではなく、

ヒナコのはずから。

そんな想いを知ってか知らずか
タクトがヒナコの一面を
教えてくれる。

「この辺、イルカ
見れるんだけど。
今日はいないな・・。

姉はイルカが大好きで、
アイツ、イルカみたら
異常興奮してオモシロイの。」

タクトは思いだして、
クツクツと笑っている。

「ヒナコって、物静かだよな。
ケンカとかって、
やっぱしたの?」

タクトは話やすい人柄で、
俺もつられるように、
幼少の彼女について
聞いてしまう。

「弱くてケンカにならなかった
でも負けず嫌いで
絶対泣かないようにしてた。
当然、泣かしてやったけど。」

彼は首をすくめる。

「悪いヤツだな。」

「なんか、そんな感じ
するよねぇ。
ヒナコってさ。」

元田と大笑いする。



 
< 138 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop