神様のきまぐれ
等身大の二人
「ゴーヤ・・・
食べられますか?」
多分、ダメだと思うけど
特に元田さんは。
祖父の好物のそれと、
二人の好みに合いそうなものと
数品運ぶ。
案の定、二人は
ゴーヤに悲鳴をあげた。
まったく、
子供の口なんだから。
「はい。お水。」
グラスを渡しながら、
笑みがこぼれた。
祖父はニコニコして
万事を見ている。
「ヒナコ、押し入れに
布団があるから、
干してくれんか。
今晩、泊まってもらうから。
タクト、お前も
こっちでええか?」
「うん!」
どうやら、祖父は、
この二人を気に入ったらしい。
昔から気に入った人を、
引き止める癖がある。
「スケジュール
大丈夫ですか?」
ちょっと気になったので
きいてみた。
「ああ。」
なんだか、
いつもより柔らかい
雰囲気の日向さんが答えた。
まあ、この様子じゃ、
帰れそうにない。
押し入れの奥にある
客用布団を取りに立つ。
「ヒナコ、いいから。
俺らに気遣わなくていいから。」
日向さんは言う。
「畳じゃ痛いですよ?
それに、たまには
お日様にあてなくちゃ。
ねぇ、じーちゃん。」
「そう。」
祖父が、短く言った。