神様のきまぐれ
「すごい。

元田さん、
ムキになってる。」

笑みがこぼれた。

「あいつ、少年の心を
忘れない大人になるらしい。」

日向さんは、濡れた
銀のメッシュの入った
髪をかきあげながら続けた。

「でかけるの?」

「ええ。ちょっと、買い物に。
タクトに荷物もちさせようと
思ったんだけど・・・」

元田さんと二人で、
熱帯魚と格闘してる。

「あんな熱中してるのに、
可哀相だね。」

諦めて、
一人で行くことにした。

「じゃあ、俺が一緒にいく。」

彼は、そういって、
橋に手をつき、
海から桟橋へ飛びあがるように
体をもち上げて、
腕に体重をかけた。

「あ、
そんな意味じゃなくて。
お客様に、そんな・・・。」

慌てていった自分に、
彼は笑み言った。

「俺が一緒にいたいんだ。
・・・ヒナコと。」


トクン・・と、
鼓動が跳ねた。


思わず言葉を失った自分に
気付いてか知らずか、
彼は、残る二人に大声で、
自分と買い出しに行くと
告げる。

「俺らもいく!タクト!
行くぞ!!」

元田さんに続く弟をみて、
可笑しくなって
笑いころげた。

まるで、
元田さんの
オモチャみたいで。



 
< 147 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop