神様のきまぐれ
「イルカ・・
好きなんだって?」

日向さんが突然言った。

多分、タクトが
言ったんだろう。
頷き肯定した。

「ここら辺て、
見られるの?」

「さっきの
埠頭の先に行くと、時々。
来る時は、
見なかったですか?」

久しぶりの
何気ない会話が新鮮だ。

「うん。でも、
ナポレオンフィッシュは
みたよ。
船停めてくれてね。
いいよな。こういうの。」

「大きかった?」

問うた自分に、彼はいう。

「俺は、全然詳しくないけど。
志央は、アクアリウム
フリークだから、
わかったかもね。」


志央・・・


自分たちを近づける
きっかけになったのは、
他でもない、彼の言葉。


妙な間を取り繕ろうと、
無理矢理、会話をつなげる。

「帰りは・・イルカ、
見られたらいいですね。」


「そうだな。
でも、まあ、
ヒナコの顔みれたし・・・ね。」

彼の言葉に照れてしまう。

照れ隠しの冗談は・・
言えそうにないけど。


それでも、先日の様に
重くならないよう
冗談めかして
言葉をかえした。


「私がいないと
寂しいでしょ?」


なのに、

日向さんが

返した言葉は。


 
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