神様のきまぐれ
ずっと、
台詞を、考えながら、
待ってたんだろう。

ヒナコの事だから。

途切れ途切れに、
真っ赤な表情で、
小刻みに震えながら、
彼女は言って、
スッキリした顔をした。


「じゃあ、電車がきたから。
おやすみなさい。」


ヒナコは、改札を通り抜け、
一気に駆け込んで、
電車に飛び乗る。

ドアが、タイミングよく閉まり
すぐに発車してしまった。


一人、駅に取り残されて
しばらく呆然としたけれど、
歩きだすと、すぐに、
口元がゆるんだ。


子供の告白みたいだった。


・・・これから・・
どうするかな。


ようやく、新な関係が、
始まろうとしている。


ヒナコの生活の事もある。


このままじゃ、本当に、
ただの恋愛ごっこだな。


自分は、追う為の情報も
十分に知り得なくて。


本当に、あの日、
ただ、あいつを
抱いただけで
終わっていて・・・

いまさらながらに、
自分に呆れた。


追わなきゃ、
何も得られない。


無償の愛を注げなきゃ、
自分も愛されはしない。


ヒナコと出会って、
得たものは、
大きかった。


 
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