神様のきまぐれ
「生でやりたい。
気が変わった。」

譜面に、チェックを
いれてゆきながら、
志央が即答する。

私は、志央の
マーカーを持つ手を見つめる。

そのチェックは、
まさしくその喘ぎ声とやらを
フェイクするところで、
さっきよりやたらと増えてる。

「待って?!
さっき、ここは
いらないって・・・!!」

慌てて確認する。

「ん?気が変わった。」

「志央、きまぐれはダメだぞ。」

日向さんが
冷めた口調でたしなめる。

「どっち?」オンナ?

カラカイを含む声色の
年下の相手に、
日向さんは、ムッとした表情で
ピシャッといった。

「音楽ッ!!」

いらついた日向の声に、
志央がニッコリ笑う。

この笑顔・・・
クセもんだな。

私は、様子を見守りつつ
確信する。

そういえば、前も、
この表情で地雷を
爆裂させてくれた。


そうして、今、
ここにいるのだ。



 
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