神様のきまぐれ
「ヒナコ、おまえ
今週中に喘ぎ声
完成させろよな。」

志央が正面から
視線を合わせていう。

「なんだったら
手伝うよ?」

「いりません!
自分で何とかしますからっ」

あては無いけど、
冗談でも怪しげな返事を
するわけにいかず、
きっぱり断る。


だけど・・・
どうしよう。

アダルトビデオでも
借りたほうが
いいのかしら・・・?

内心、途方にくれる。

みんなが帰ったあと、
リミックスの音源を
ヘッドホンで聞きながら、
マイクに声を通す。

そして、スピーカーから再生し
出来栄えを確認する。
この作業の繰り返した。

スタジオの空き時間を借りて、
必死に練習する。

たまに、事務所の
女性スタッフが覗いて、
感想や体験?を、元にした
アドバイスをくれる。

地味な作業・・・
録音と再生の繰り返し。

なにかが違う・・・。

なんだろう・・・
この、嘘臭さというより
白々しさ。
違和感が耳に残る。

「何が違うんだろ。」

ため息混じりに
つぶやいてしまった。

「感情がこもってないんだろ?
それを表現してないから
イメージと違って
聞こえるんだろ。」


・・・え・・・?


思わぬところから
答えがかえってきた。



 
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