神様のきまぐれ
 
「!!!

日向さんっ!?」

振り返り声の主を見つけて、
赤面する。

うっ・・・
聞かれた?
聞かれちゃった?!

当然ライブでは
人前でやるんだけど・・・


あんまり・・・

聞かれたくない。


「まだ、いらしたんですか?
もう、みんな帰ってるかと
思ってた。」

日向さんは、
真っ赤になったままの
私の目の前に、
鍵をすっと出した。

「本当に帰ってもいいわけ?
終電終わってるぞ。

これ、ヒナコに
渡すようにってさ。」

そういって。

あ・・・

こんな時間になってる・・・。
没頭しすぎた。

「すいませんでした。
あずかってもらって。」

事務所の鍵は、
当番制で開けている。

休みあけの月曜は、
自分の番だった。

「ほら、送るから。
行こう。」

「はい。」

戸締まりとブレーカの
確認をして事務所をでる。

そして、車に乗ってすぐ、
日向さんの携帯に
着信がはいった。

話を聞かないように
窓の外に視線をやって
気をそらす。



 
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