神様のきまぐれ
さすがに終電もすぎると、
路に人もいない。

日向さんに連れられ、
店の扉を潜る。
内側のノブには、
会員制と書いたプレートが
かけられていた。

表に見えた準備中の看板も
気にすることもなく、
彼は足をすすめる。

「お待たせ。」

それほど広くない店は、
貸し切り状態になっていて、
他のメンバーが飲んでいた。

「なんだ。
やっぱ来たんだ!
だから俺、コウジさん好き♪」

上機嫌な志央が、
カウンター席から
身をよじっていう。

「オトコになんか
好かれたくないんだよ。
クソガキ。」

日向さんが、冗談めかして、
志央にデコピンのおまけつきで
言った。

「こんばんは。」

志央と目が合い、
何となく口を付いた言葉。

日向さんの後に
ついていこうとした。

「おお。ヒナコ、
少しはうまく
声出る様になった?」

志央が二ッと笑んで
聞いてくる。

「研究中です

それより・・・
随分飲んでますね。」

・・・気持ちよさそ。

「うん♪
だってリハひけてから
飲んでるんだもん。」

「あらあら・・・」

と、彼がイタズラな瞳を
こちらにむける。

「何・・?」

その視線に、警戒心を抱いて、
つぶやくように問うていた。


 
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