神様のきまぐれ
「うまくできないか？」

声をかけた俺の方を、
ヒナコは上半身をひねって
振り返る。

「おはようございます。
早速お借りしてます。」

言って彼女は、
俺の顔を、
マジマジと見る。

「顔色・・・良くないですよ。
昼からお酒のんで
大丈夫ですか？」

「ああ、酒は大丈夫。
どうも風邪ひいた
みたいだな。」

「市販の薬だったら、
今持ってますよ。
飲まれます？」

「うん。」

彼女の言葉に甘える。

ヒナコは鞄から
カプセルを取り出し、
俺に手渡した。

そして、そのまま
指を俺の首筋に伸ばし、
掌で触れる。

「あ。熱っぽい。

ビール飲んでないで
寝たほうがいいですよ。
きっと。」

ヒナコが
非難めかして言う。

「そうする。」

「ご飯食べました？」

「何か、食欲ない。」

素直に言った自分に、
ヒナコが笑顔を向けた。

「日向さん、
今日は、子供みたい。」

そう言って。



　
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