神様のきまぐれ
この歳で、
まわりの人間と比較して、
才能や資質に嫉妬してるなんて
思いたくない。

俺にだって、
プライドがある。

自分のペースもあり、
世界もあり、
仕事に対し経験もあれば
誇りもある。


・・・でも。


認めないけど・・・。


俺は、認めたりしない。



だから、これまで
志央の戯言も、女関係にも
関わることをせずにいた。

関係ないと思って。


ニーノより、随分扱いやすくて
音楽以外は、適当に相手して
切り抜けて来た。


まずいな。

・・・混乱してる。


そもそも、俺が
きまぐれだったのかも
しれない。


An-sが解散したあと・・・

志央が
『ニーノを越えたい。
それには、コウジさんの
ベースが要るんだ』
って。

必死な顔して、
まだ高校生だったアイツが
口説きに現れた時ですら、
あの日の自分達を
越えられるはずがないのにって。
お手並み拝見といきますか?
くらいの、軽いノリで
つきあって今にいたっている。


ここに至る全てが、
きまぐれの連続じゃ
なかったのか?


そうじゃなきゃ・・・。
ヒナコを引き止める理由が、
思いつかない。


 
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