神様のきまぐれ
志央が、
私を、抱きしめていた。
「えっ・・?」
「動かないの。
今から、実験するから。
コウジさんの反応を
観察するから。」
志央がそんな事をいう。
志央の場合、こんなハグ程度は
スキンシップの一環だって事
くらい、私も把握しているから
取り立てて、怒る気もない。
だけど・・今・・・
リハ中なんだよ・・?
流石に呆れる。
「怒られますよ。また。」
言った私を見て、
志央はイタズラな瞳をする。
「はい。
ヒナコはじっとしててね。
ご褒美あげるからね。」
私が動けないくらい、
腕に力を入れて
抱きしめたまま
志央は・・・
派手に
キスをした。
唇を割り込む・・
派手なキスを。
硬直する自分。
絶句する
周りのスタッフ。
腕を解放された瞬間、
恥ずかしくて、ショックで、
顔中熱くなって、
口元を両手で覆って俯く。
顔が熱い。
「オイッ!!志央!!」
叫んだのは
日向さんじゃなくて・・・
元田さんだった。
「オマエら
遊んでんじゃねーよ」
志央は、うれしそうに
ステージに向かって手を振り、
私をみた。
「やっぱ、何かあったな?
ヒナコ。これが俺達の
従来の姿だぜ。」