神様のきまぐれ

志央は続ける。

「元田さんが仲裁、
コウジさんは何も言わない。
たまにドラムの山本が、
俺にブチ切れる。

わかる？」

私は、ライトで輝く
ステージをみる。


私・・・

場違いなところに
いるんだ・・。


今更ながら・・
そう思った。


「ヒナコ、いくぜ。
今の、マイク通すから。」

「あ、はい。」

カードをもって、
ステージにあがる。

ドラムの横の
コーラスマイクの前に立った。

志央がアカペラで
唄い出す。

カードの指示をみながら
声を重ねる。

恋人が関わりあうように
掛け合いで重ねる。


一回目のサビ・・・

メンバーが手を止めて、
私達を見つめる。

ソウルフルな掛け合いが
展開すると、スタッフも皆
手を止め、見守ってくれる。

コーラスとフェイクを
繰り返して、
クライマックスに
持ち込んだ。


エンディングには、

スタッフの間から、
拍手がおこった。


「ヒナコ！
頑張ったじゃん！
よかったよ！」

元田さんが、
髪をクチャクチャっと撫で、
褒めてくれた。

笑顔がこぼれた。


皆からの拍手がうれしくて。