神様のきまぐれ
何、考えてるんだろう?
志央は。
ちゃんと、言葉で
方針を聞いた方が
いいと思った。
音には、
そうすんのに・・・。
何で、ヒナコには
そうしなかったんだろう。
自分の判断だけで、
あいつの真意なんて、
確かめもしなかった。
「志央!」
美術責任者と話すアイツを
呼び付ける。
「何?」
子犬みたいな
キラキラな瞳をして
こちらへやってくる。
好きな音楽やってるんだから
当然か。
「オマエ、冒険するなあ。
こけても、しらねーぞ。」
それが、直ぐに
ギターとのラインの話だと
理解したのだろう。
奴は、真剣みを帯びた瞳で、
いつにも増して自信に満ちた
返事をした。
「うん。大丈夫。
自信あるよ。
部分的に潰されるくらいの
プレッシャーって、
この曲だったら
流せると思うよ。
どう?」
昔のニーノとギターの
競り合いを思い出す。
志央の言葉が、
渋る自分の背中をおした。
「大丈夫だって、コウジさん。
バランスは崩さない。
崩れない様に、
前に出ることで
保ってほしいの。」
その言葉は、
雷に打たれたような
衝撃だった。
答えを・・・。
このバンドで
演ることについての
答えだった。
答えがみつかった。