美湖 夜空を見上げてごらん?【月】
「・・・・・・・そんなことより、私、なんでここに呼ばれたんですか?」

「おお、雪原さんに似てはっきりとしてるね、性格。」

竹内は答えた。

「いやですわ先生。」

お母さんはお母さんで先生の言葉を聞いて笑っている。

「いい加減にしてください!!」

私は呆れて言った。

「・・・・・・・・美湖ちゃん、お母さんはね美湖ちゃんになら話しても大丈夫だろうと思って君をここに呼んだんだ。今から話すことは決して本当かどうかわからない。でも、覚悟はしておいてほしいことだ。分かるか?」

竹内はさっきとは違って真面目な顔つきになっていた。

私は両手をぎゅっと握りしめる。

「・・・・・・・・お母さんはね、癌だってことはお母さんから聞いたよね?」

「・・・・・・・・ハイ。」

「その癌は見つかるのが遅かった。今の癌は進行が早い。もう君のお母さんの体じゅうに転移してしまっているかもしれない。・・・・・・お母さんには話したんだが・・・・・美湖ちゃん、君のお母さんは手術しても助かる可能性は低いんだ。つまり、手術しても治らない。抗がん剤治療で進行は遅らせることはできるが、それが絶対だとは限らない。・・・・・・・分かるな?」

つまり・・・・・・・・・・・

‘‘長く生きられない’’

これしかないってこと・・・・・・・・・・・だよね。
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