美湖 夜空を見上げてごらん?【月】
「なんだお前!!言っただろ!!これは全校生徒がすることだって。お前は俺の話を聞いてなかったのか!?」

案の定怒り始めた。

「さっさとやればいいのにね。」

南波が私の隣で言った。

これが先生に聞こえていればたぶん、カンカンに怒っていただろうが、運のいいことにざわついていた教室で、南波の言ったことは聞こえてはいなかったらしい。

「まず、女子からするからな。」

そういって教室を出て行った。

「マジでェ~・・・女子のかばんも先生が見るの!?」

クラスの女子が信じられないという風に叫んだ。

だいたいここで先生が出て行ったら、鞄からどこかに隠す生徒も出てくるだろうに、バカな先生はここで荷物をチェックする部屋に行ってしまう。

「あっ。水無月がっ!!」

南波が私に向かって言った。

心も、愛美もこっちを向いてうなずいている。

水無月が鞄から箱のようなものを取り出し、ポケットに隠した。

< 155 / 165 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop