美湖 夜空を見上げてごらん?【月】
「おまえ・・・美湖ちゃんのこと好きなんだろ!?」
キョウスケが言った。
 私は聞いていないふりをしていた。南波と愛美と心と4人で話しているふりをした。でも、私の耳は男の子たちの会話のほうに集中していた。
「あ・・・・・私・・・・もう帰るね。今日用事あるの忘れてた。」
わーーーーーーーーーーーーーーー!!嘘ばっかり!!今日用事なんて一つもないのに!!

「えっ?美湖今日用事なんてないでしょ?」
心が言った。なんでわかるんだ!!?
「あ・・・ははははははは・・・そうだったっけ?」
「うん。間違いないって。今日美湖のお母さんに聞いたもん。」
 

          なんで?
「お母さん・・・なんか言ってた?他に・・・・・・・・・。」
「そういえば・・元気なかったよ。どうしたの?」
うそ・・・・・・・今日の朝お母さんの眼が腫れていることは分かった。でも・・・単に寝不足なんだろうと思っていた。お母さん・・・泣いてたんだ。
「泣いてたんだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
そう思ったらいてもたってもいられなくなった。
「やっぱ・・・・・・・帰る!!」
私はみんなに背を向けて走っていた。




「お母さん!!」
玄関の前にお母さんが見えた。
「み・・・美湖・・・・・!!」
お母さんは少しびっくりしていてそれからこう言った。
「美湖・・・あのね、ちょっと散歩にでも行かない?」
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