美湖 夜空を見上げてごらん?【月】
「うん。分かった。でも、嫌なんかじゃない。私、マドカ君の姉さんのこと知りたい。」

 気が付いたら勝手なことばっかり言って、後で後悔した。

もし、お姉ちゃんのことだったら?
もし、私たち、家族のことだったら?


「美湖・・・・・・・大丈夫?やっぱやめよっか?」
 
心配そうな顔・・・・・・・・・・マドカってそんな顔もするんだ。

「・・・・・・・私のことはいいの。マドカ君の姉さんの話聞きたいな。」

「・・・・・・後悔しても知らんで?」

ハヤトが言った。

「後悔なんかしない。できない。もしマドカ君のお姉さんが私のお姉ちゃんのことを殺したんだってわかっても。でも、マドカ君の姉さんは私のお姉ちゃんを殺してはいないって私はそう思ってるから。」

 そうなの?ほんとにそう思ってるの?それとも心の中や裏ではマドカのお姉さんのことを悪く言って、表では良いふりしてるだけ?いわゆる『八方美人』?

「俺の姉ちゃんの部屋から遺書が見つかったんだ。大したことなんて何も書いてはなかったけど。でも一応言っといたほうがいいと思って。お前の姉さんのことこう言ってた。
『私と正反対の女の子を自分のせいで苦しめて、おまけに自殺までに追い込んでしまってホントに申し訳ないと思っています。死んでお詫びしますので、許してください。それと私が自殺までに追い込んだ女の子の妹さんに言いたいことがあります。』

 マドカはここまで言って一回話をやめた。そして私の顔をみた。
 
 たぶん私は動揺と不安と恐怖を隠しきれないような顔をしていたんだろう。マドカは静かにこう言った。

「悪い、ハヤト。ここ・・・はずしてくれないか?」
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