美湖 夜空を見上げてごらん?【月】
「なっ・・・・・・・どうしたの?」

南波が泣くなんて初めてだった。

見たことがなかった。

やっぱ南波はかわいいから泣いても絵になるなって・・・・・・・・

って、何考えてんだ私は。

「ほ・・・・・・・とは・・・・そう言ってほしくって・・・・・・・・っ、でも・・・・私の理由なんて・・・・単なるヤキモチなのっ!!もう・・・・・・ハヤトはかっこいいから、大丈夫だって思ってても・・・・・・・やっぱり、そう思ってた自分、いなくなっちゃった・・・・っ!!私は楽になる道を選んだのっ。ハヤトも私と別れたほうが幸せに決まってるっ!!!!」

知らなかった・・・・・・・・。

南波がそう思ってたなんて。

かっこいいのは分かってた。

気持ちを抑えなきゃって思ってた自分もきちんといたんだね。

でも、その自分が限界を南波の心に教えてしまった。

しょうがないね。

女の子だもん。

誰よりもハヤトクンのことを思ってるんだって思ってたんだもんね。

「南波、分かるよ。南波だって我慢してたもんね。でも、しょうがないんだよ。南波だって女の子なんだもん。わがまま言ったっていいじゃん。ハヤトクンだってきちんとわかってくれる。ね?みんなが南波のこと悪くいっても、私は南が悪いんじゃないって言い続けてやるから。元気だしな。新しく出来たカフェ、おごってやるから。話、聞いてやるから。」

こんなことしか言えないから。

しょうがないから。
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