「KARE」
日中はひたすら泳ぎ夜は肝試しにキャンプファイヤー。


三泊四日の臨海学校は瞬く間に最終日を迎えた。


この日は朝早くから遠泳競技をする。


実は私…泳ぎが大の苦手で、この臨海学校でも克服できなかった。


情けないけど足のつく場所でしか泳げないCグループに所属。

で、遠泳には参加せず、ってかできず、海岸で応援します!


A、Bグループが一斉に海に飛び込みいよいよ競技開始。


なぜか乾君の姿を目で追っている私…


みんなの姿が見えなくなって
約一時間、遠くで掛け声と笛の音が聞こえて海のかなたに目を凝らすと、ポツンと一つの影。


それは次第に大きく、近くなっていく。


…乾君!?


他を寄せつけずダントツ。


まだ余裕の見える平泳ぎ。


「がんばれ。あと少しだ」


先に岸に上がってきた担任から声がかかると乾君はクロールに切り替え勢いよく迫ってきた。

そのまま完泳。


みんな拍手する。

私も少し遅れて拍手した。


クラスの女子たちから「おめでとう」と祝福され珍しく照れている彼。


そんな彼を私は遠くから見つめていた。
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