｢ＫＡＲＥ｣

その夜。


携帯が鳴った。


でも知らない番号で…。

シカトしようと思ったけどいつまでもしつこい呼び出し音にただならぬ気配を感じて電話に出てみた。



｢俺…乾やけど｣

｢…え？｣

一瞬耳を疑った。

｢突然悪い。あ…俺とつき合ってくれへん？｣

｢…｣

｢もしもし？｣


私は混乱していた。


｢ほんとに乾君？｣

｢そうやけど｣

｢私、観月だよ？｣

｢そんなんわかってる｣

｢…｣


相手を間違えたわけではない？

でも


｢私の携帯なんで知ってるの？｣

｢それは…ちょっと友だちからきいた｣

｢誰？｣

｢いいやん誰でも。つき合ってくれるか…くれないか｣


番号を誰から聞いたのか気にはなる。

でもそれをしつこく追求してる状況でもないと思った。


だから私は

｢すぐには返事できない｣

と答えた。


電話の主は確かに関西弁だけど
本当に乾君かどうか確信できなかったし本人であったとしても
『ドッキリでしたぁ』
とか
『うそぴょ〜ん』
なんて言われた日には立ち直れない。


｢明日、またかけ直すから。その時に返事きかせて｣

｢うん…｣


電話を切ったあとも心臓がドキドキしていた。


どうしょう…

どうしたらいい…？