「KARE」
佐伯君にふられた理由

ずっと考えていた。


「自制する自信がない」なんて

嘘だってわかる。


本当に好きな相手なら…


「私って女としての魅力ないんだね…きっと」

「そんなのこれから開発されていくって」


美喜はニコッと笑う。


ファーストキスのこと、美喜には話せずにいた。


あの時、嬉しい反面どこか後ろめたい思いもあったから…。


いつか心が癒えたら打ち明けるね。


「ねぇ明日香、これからうんといい女になってあいつ見返してやりなよ」

「え?」

「逃した魚は大きかったって思わせてやるの」


美喜はいたずらっぽい瞳を向ける。


「わかった…がんばる」


私は精一杯ほほえみ返した。


美喜、ありがとう…。


雨はすっかり上がり
西日がまぶしく光りはじめた。
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