キミノウソ ボクノウソ
「もう少し人の気持ちを汲み取る努力をしたほうがいいと想うぞ。」




そういや、誰かに言われたな。


お前は常に人より高いところにいて、誰とも心を通わせようとしない。


ってな。



分かったようなこと言うんじゃねぇよ。


所詮、自分は自分。他人は他人だろ?



人の気持ち?


笑わせんなよ。そんなん分かったところで何も変わりゃしないだろ?



だいたい、自分の気持ちもはっきりわかんないのに人の気持ち考えてる暇あるわけ?



分かったところで僕にできることなんか何もないっていう事実が目の前に突き立てられるだけならば



人の気持ちなんて分からないほうがいいじゃないか。



「先生達はどうして人の気持ちを考えろって言うんですか?」


「君達に優しい人になって欲しいからだよ。」


「先生達はみんながみんなそんな風に同じになると思ってるんですか?」


「そうじゃない。たしかに、みんながそうなってくれればいいとは想うが…」


「ちょっと質問を変えます。先生は人の気持ちを考えて何も出来ない自分に絶望したことはありますか?」

「そ……それは…、」


僕はずるい。先生が絶対に困ると分かっててこの質問をした。


「あるんですか…?」


あるわけないって分かってるのに僕は質問を重ねる。


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