ｷﾐﾉｳｿ ﾎﾞｸﾉｳｿ

質問の答えに詰まってしまった先生はただ俯いている。



「ないでしょ？だから、そんな事が言えるんですよ。」


先生達の言葉なんてどうせくだらない先輩方の受け売りだろ？？


別に受け売りが悪いとは思わないけど、



偽善者にしかみえないよ？


「先生。僕、世の中に嫌いなものたくさんあるんです。」


ちょっと自嘲気味に笑いながら言った。


「だけど、その中で１番嫌いなのは…」



『偽善』ですよ、と
先生の耳元で呪いの言葉のように呟いた。


先生は肩をビクッと震わせやっと顔を上げた。



「…神野はなんでそんな風に、思うんだ…？」


「別に理由なんてないですよ。ただ、上手く世の中を渡るにはそう思わないとって考えただけです。」


「そこまで追い詰められるほど何を見たんだよ…」


「……、普通の人と何も変わらない生活をしてるだけですよ。ただ、人より少し関心が薄いだけで…ね？」


何も変わらない。

だけど、もしも願いが叶うなら



あの無力な僕をどうか







ケ シ テ ク ダ サ イ





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