痛心~雨のち晴れ~

「誰・・・」

「お前本間大丈夫か?
 なぁ?」

ヒロヤ?
幽霊じゃなくて
これはヒロヤなの?

「ヒロヤ?」

「ヒロヤやけど・・・
 なぁ,どうしたんや?」

あたしは,座り込んで
思いっきり泣いてしまった。
安心したというか。
まぁ,そんな感じで。

「なぁ,何なん?
 俺何かしたけ?」

「ごめん。
 あたし怖がりやけど
 1人でトイレ来たら
 勝手にドア開いて狂っとった。」

「あ,そうなんや。
 1人で戻れるか?」

「ごめん。
 ちょっと,あたしがトイレ行っとる間だけ,
 間っとってくれん?」

「おう。行ってきぃ。」

好きな人にトイレで
待たせるとか・・・最低だね。
でも,今はとりあえず怖いから。

「ごめんなぁっ。」

真っ暗でよく見えない。
ヒロヤから返事がない。
先に行っちゃったのかな?

「・・・ヒロヤ?」

やっぱり返事がない。
どうしよう。
あたし,部屋に帰れない。
そう思いながらも恐る恐る
部屋に向かって歩きだした。

【ウニョ】

何?
何か踏んじゃったよ。
何だろう。
どうしよう。
もっと怖いよ。

【ガサガサ】

踏んだものが動き出した。

「あ,ユウナ?
 ごめんごめん。
 ユウナおせぇから寝てしまった。」

びっくりしたぁ。
ヒロヤ寝てしまったんだ。
怖かったけどよかった。

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