endorphin
ノウゼンカツラ
 平均よりいくらか高い身長。教師にうるさく言われない程度に染めた中途半端な髪色。学力は普通、運動はまあそこそこにできる。中学生のときにはひとり、交際していた子もいた。
 どこにでもいそうな、ただのクラスメートAといったポジションでしかなかったであろう俺を、彼女がどうして気に入ったのか分からない。
 強いて理由を挙げるなら、ウマが合ったのだ。
 あの一件以来、笹原桂は、俺と親しく話すようになった。暇さえあれば俺のもとを訪れ、何気ない会話を繰り返しては屈託なく笑って見せる。
 彼女が登校すれば同時に俺にも視線が集まり、廊下を並んで歩けば道行く生徒がギョッと目を見開いてこちらを振り向く。
 まさしく、羨望の眼差しを浴びながらの高校生活がそこにはあった。
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