endorphin
 桂のことはそれなりに好きだ。多分、付き合ってなどと桂から言われたら即答で了承するのだと思う。
 けれども、これが恋心と呼べるものかと問われたら俺はそれにはっきりと頷ける確証がなかった。友情の裏に隠れた下心やミーハーな気持ちだと言った方が正しい。つまり「笹原桂の彼氏」というポジションに少なからず憧れを抱いているだけなのだ。そこらへんに転がる男子生徒と同じように。
 純粋に友情を求める桂と、どっちつかずの立ち位置でぬるま湯に浸かる俺。
 河本たちからすれば焦れったいふたり組なのかもしれないが、俺たちの気持ちは正反対を向いているようにさえ思う。
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