endorphin
すぐに返事が来るものだと思っていた俺は、思いがけない桂の態度に戸惑いを隠せないでいる。その表情からなにかしら情報を得ようと視線を巡らせて、、溢れるような黒髪の間から漏れる笑みを見たとき、そこから目が離せなくなった。
恐ろしいほどに妖艶で、16とは思えない色気を全身にたたえた女が、そこにはいた。
「ねえ清貴」
桂のしなやかな指が鍵盤を伝う。
赤く色付く夕陽に照らされてゆるく蠢く桂の手は、白鍵のそれとなんら変わりないほどの白さを思わせて俺はひとり喉を鳴らした。食道を流れ落ちる唾液の、生々しい音。ゴクリ。
その音を聞いてか聞かずか、桂の目が不意に俺を捕らえた。密集する睫毛に囲われた白目の割合の少ない眼球。
赤みを帯びた唇が持ち上がる。
「エンドルフィンって知ってる?」
桂の唇から漏れたその単語は耳馴染みのないものだった。科学薬品かなにかだろうか、授業で習った覚えはない。
恐ろしいほどに妖艶で、16とは思えない色気を全身にたたえた女が、そこにはいた。
「ねえ清貴」
桂のしなやかな指が鍵盤を伝う。
赤く色付く夕陽に照らされてゆるく蠢く桂の手は、白鍵のそれとなんら変わりないほどの白さを思わせて俺はひとり喉を鳴らした。食道を流れ落ちる唾液の、生々しい音。ゴクリ。
その音を聞いてか聞かずか、桂の目が不意に俺を捕らえた。密集する睫毛に囲われた白目の割合の少ない眼球。
赤みを帯びた唇が持ち上がる。
「エンドルフィンって知ってる?」
桂の唇から漏れたその単語は耳馴染みのないものだった。科学薬品かなにかだろうか、授業で習った覚えはない。