endorphin
 朝はふわふわとした足取りでひとり登校し、春の陽気に時折瞼を落としながら授業を受け、昼は声のかかったグループに適当に混じって弁当をつつき、放課後はそれなりにクラスメートと会話を交わしてから帰宅する。
 4月の間まるで嵐のように学校中の話題をさらっていった桂は、密やかな均衡の保ち方を周りが努めたことで、あっという間に平凡な高校生活に馴染んだ。
 そしてそんな平凡な高校生活の平凡な一要員に過ぎなかったはずの俺と、黙っていれば「ただのとびきり美少女」の桂を垂直に交わらせたのは、雨の季節が終盤に差し掛かった頃であった。
 
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