学園戦隊 ドキドキ☆ビューティー

「こ……これが……!?」

保健室につくと、雪野は持ってきた大きな紙袋をどんっと置いた。
保健医は席を外しているのか、見あたらない。

「ふふふふ……」

雪野から、怪しげな笑いがもれる。

香流は、何が出てくるのか、恐怖に怯えていた。

「昨日ね、あの後りんりんと打ち合わせして、衣装を決めたのよ……。そして、何と都合のいいことに、あたしとかおるんの試作品だけ、作ってきたのよね!」

雪野は香流を見ながらそう言った。

何故?
どうして、わたしとゆきのんのだけ!?
ていうか、衣装って、なにっ!?

香流はパニックになりながら口をぱくぱくさせる。

香流の声にならない問いは雪野に聞こえたらしく、

「あたしのは一応試作品って事で。
で。
かおるんのは、他の人のかおるんに作ってもらう予定だったから、見本として作ってみたのよ。
あ、あとでちゃんと気に入るように手直ししていいからね」

雪野はそう教えてくれた。

「そ、そう……。ありがとう…………」

消え入りそうな声で香流がそう言うと、雪野は満足そうに紙袋から何かを引っ張り出した。

「ま、ちょうど同じクラスなのがあたし達だけだったからちょうど良かったね」

雪野と香流は1組。
輪廻と美華とココは3組なのだ。

香流は、初めて自分が1組なのを恨んだ。

「じゃんじゃじゃぁ~ん!」

高らかな効果音(?)とともに、紙袋から雪野が取り出したもの。

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