学園戦隊 ドキドキ☆ビューティー
…………

教室の中を、凍り付いた冷たいブリザードが吹き荒れる。

後ろに立っていた香流は、どんな小さな穴でも、見つけたら吸い込まれたいと、心の底から本当に本気で思いっきり願っていた。

ブラックホールに吸い込まれたい……。

どんな願いでも叶えられるなら、香流はそう願っていただろう。

雪野の姿を見た、1組の生徒は全員、硬直しきって、誰も一言も発していない。
息をするのもこらえている感じだ。

教師であるジーナも、口を開けたまま、凍り付いたように立ち尽くしていた。

――ジーナ先生のあんな顔、初めて見たわ……。

香流は密かにそんな事を思っていた。

「学園の平和と秩序を守るためにやって来た、その名も 『学園戦隊 ドキドキ☆ビューティー』!
 あたしはビューティー☆ホワイト!」

とぉ!

と言いながら雪野は教室内に飛び降りる。

その姿は、さすがに運動神経抜群な雪野。

美しいジャンプで、決めポーズまでバッチリだ。

「さぁ、ビューティー☆ピンク! 早くいらっしゃい!」

雪野に声をかけられ、香流は窓を乗り越えると、普通(?)に教室に入った。

ここに至っても、まだ誰も何も言えないでいる。

次に何が起こるか予想がつかないため、どう対処もしようがないのだろう。



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