学園戦隊 ドキドキ☆ビューティー
ふらふらと部室に足を踏み入れた楓が見たもの。

前日、雪野が黒板に書いた文字、

『同好会名

学園戦隊 ドキドキ☆ビューティー』

が、一番に目にはいる。

しばらくその文字を立ち尽くして見ていた楓は、次に、部室の隅の机の前に座り、何かを必死に書いている人物が目に入った。

3組の、水信 輪廻、だ。
割と成績は良かった筈だけど、こんな時にまで真面目に勉強しているんだ…。

楓は、そう感心して、輪廻の姿を見ていた。

輪廻はしばらく楓に気付かなかったが、一息ついて、伸びをした時に、そこにいるのがちゃいるだけじゃないのに気づき、びくっとした。

「あ! キラキ……」

言いかけて、慌てて口をふさぐ。

――ヤバイヤバイ、本人を前に、『キラキラ王子』は言っちゃいけないんだった。

輪廻は慌てて言いつくろう。

「き、きら、吉良楓くんだったね」

随分「きら」が多いな、と思いつつ、楓が頷く。

「えっと、まだリーダーの雪野は来てないんだ。その辺座って待ってて貰える?」

輪廻がそのへんの席を指さす。

楓は頷いたものの、席にはすぐに座らず、輪廻が一生懸命書いていたモノを覗き込んだ。

「………え……」

てっきり勉強してたんだと思いこんでいた楓は、自分が見たモノを一瞬疑った。


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