学園戦隊 ドキドキ☆ビューティー
思いがけず、強い口調で楓が遮った。

「僕、記憶力はいいけど、応用力がないんだ!」

吐き捨てるように楓が言う。

それだけでは、ハテナマークが飛び交った。

一人、雪野だけが納得したように頷き、合点がいったような表情に代わる。

「スピーチなんかは得意なワケね」

うんうん、と、一人納得して、腕組みまでして楓の話を聞く雪野。

「……そう。スピーチなんかは、覚えた英語の原稿を、そのまま自分なりに話せばいいだけだからね。簡単だよ」

楓が淡々と続けた。

「でも、テストとかって、応用力を問うものが多くて……。しかも、ジーナ先生のテストは、特にそういうものが多いんだ」

ジーナの小テストを受けたことがある全員が、頷いた。

ジーナのテストは、身に付いているかどうか、その本質を問うような問題が多い。

「だから、苦手なんだ。あの小テスト。……でも、ジーナ先生のテストで悪い点は取りたくないし……」

ちょっと顔を赤らめて話す楓。

ココも美華も、楓がジーナファンなのはよく判ってしまったので、がっくりした表情になる。

しかし、相手がジーナでは、憧れるのもしょうがない、と、しぶしぶ納得した。

しかも、楓は今回たまたま香流に見つかったが、他にもやってる生徒は絶対にいるはずだ。

ジーナのテストで、悪い成績を取りたくない! と心底思っている男子生徒は、数少なくないはずだからだ。



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