学園戦隊 ドキドキ☆ビューティー
全員が、固唾を飲んで楓の返答を待つ。

しばし硬直していた楓だったが、

「……まさか、あんな衣装は着せられたりしないよね……?」

と、おそるおそる口を開く。

香流の顔が引きつった。

美華とココは、ハテナマークを頭の上に浮かべ、首をかしげる。

雪野は、手をぽんっとうち鳴らした。

「考えてなかったけど、そっか! メンバーになるからには、必要だね! ちゃいちゃんの衣装デザインも出来てることだし、ここは一つ、いい衣装を考えなきゃいけないわね!」

心なしか、瞳の輝きが増している。

楓は、自らの失言を、心の奥底から悔いていた。

「コスチュームデザイン担当、りんりん!」

ビシィッと、人差し指を輪廻に突きつける。

「は、はいいっ!」

思わず直立不動になり、姿勢を正す輪廻。

「帰りまでに、キラキラ王子のコスチュームデザイン画を完成させるように!」

「あ、アイアイサー!」

ついでに、右手を額に宛てて敬礼までして、返事をする。

……一体、何のノリなんだろう……。

ついつい、自分たちも直立不動になってたくせに、残りの3人は額に一筋の汗をたらしながら呟いた。

一人、頭を抱えてうずくまってしまった楓。
気の毒そうに、ちゃいるがすりよって、なぐさめている姿が、余計に哀愁を誘った。

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