僕らは、何も知らない

 そんな訳で。
今日の晩飯はご飯と鰈の煮物、和風サラダ、味噌汁。和食だ。

 「あ、この味噌汁、あたしが天ちゃんの為に愛を込めて作ったのよ〜」
「つまり毒があるのか」
「天、残したら葵西さんに土下座しな」
この人親じゃねえ。
鬼畜に挟まれた食卓。
父さん早く帰ってきて欲しい。

 でも──それなりに楽しかったし、言うなれば家族団欒、か。
 何かに似ている気がする。
 ああ、班だ。
 今日決まった班が、『団欒』の二文字に当てはまる。
 家族みたいな班……か。 俺はその場に立ち上がって、空っぽの器を持った。

 「どうした天、トイレか?」
「味噌汁のお代わりだよ」
< 12 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop