僕らは、何も知らない

雛森は嬉しそうに、妹のことを語った。

「へえ……雛森はスポーツとかしないのか?」
「どうせ私は体力ないもーん」
「拗ねるな拗ねるな」
「ぶー」

さっきまでぎくしゃくしていたのが嘘のように、俺と雛森はじゃれあっていた。
なんだ?
違和感を感じる……。

 「……変だよな」
「ん? 今何て?」
「いや、何もない……」
ゆるりと首を左右に降り、思考をリセットした。
「んー」
「どうしたの?」
「卵焼きちょうだい」
「だめー」
「じゃあ食べさせて」
「やだー」
俺が笑うと、つられるように雛森も笑った。


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