さよなら、大好きだよ。
 
 
 一人ぼっちで歩いていると、

 前から見覚えのある奴がやってきた。

 「げっ。香野ぢゃん。」

 「はぁーっ?げって何よ!」

 なんだこいつ?相変わらずムカつくぅ!

 人を化け物みたいに言いやがって。

 「何してんだよ。」

 「何って・・・見たら分かるでしょ。

  家に帰るの。」

 奴はあたしの応答に驚いたような

 顔をした。

 「おまえの家、こっちなの?」

 今度はなんだよ。あたしは家に

 帰りたいの!!

 「そうだけど・・・」

 「んじゃあ、俺んちと近いんだな。」

 そう言ってあたしに微笑んだ。

 思わずドキッとしてしまいそうな

 完璧な笑みで。

 ・・・って何言ってんのあたし!?

 「っっんぢゃぁ、バイバイ。」

 もう無理だと思って走って帰った

 あたしを、奴はジッと見つめていた。 
 


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