3人の き も ち
3節 Sincerely
あの日――
「ちょっといいか。」
後ろから肩をつつかれて、映樹は振り返る。
珍しい人物に呼ばれた。
西島だ。
頷くと、コッチだとアゴで示してくる。
そのまま付いていくと、中庭に出た。
中庭の隅っこに弥生と、橋口あゆなが居てそこまで連れて行かれる。
「なんだよ。」
「お前さ、高原から、…何か聞いてる?」
突然、西島に聞かれるが、イマイチ要領を得られず、映樹は困惑する。
「何をだ?」
「はぁーっ、やっぱり…。」
思った通り。
そう、3人の顔に書いてある。
気持ち悪い。
映樹は胸がザワつく。
「なんだよ、早苗がどうかしたのか!?」
自分達から言い出した癖に、3人が口籠もる。
西島が、いいか?と2人に許可を求める様に言い、映樹に向き直る。
「…お前と穂杉を、……二股かけてるって、裏で言われてる、らしい。」
「あ!?」
「幼なじみを利用して、お前の優しさに付け込んでる性悪女、だってさ。
そんでな、わざと物落としたり、ぶつけたり、パッと見、解んない位のこと、されてる。
確証が取れなくて、庇うのも限度がある。」
今そういう状況。
西島の話に、頭の中が真っ白になる。