3人の き も ち
幼なじみだからって、彼を振り回さないでよ。
いやらしいのよ、そーいうのが。
彼の優しさにつけこんでさ!
すぐ人気のある人を自分の近くに引っ張りこんで、ホントサイテー!
数人の女子が何やら罵倒している声。
そこに浮かぶのは、嫉妬。
気分が悪くなる。
校舎裏、隅の木立に小さな人だかり。
映樹は静かに近づく。
聞こえる言葉も棘がある。
…どーしてアンタな訳? 納得いかない!
みつあみ頭の女子が早苗に詰め寄っている。
その人物の、ほぼ真後ろに立つ映樹に誰一人気付かない。
この位置は、何を言っているのかハッキリ聞こえる距離。
「穂杉君のこと好きなクセに!」
その言葉は思いのほか、映樹に突き刺さってきた。