3人の き も ち


お互い向かい合って両手を軽くつなぐ。
照れながらもふっと2人で笑う。


「なんか、昔みてーだな。」

「ケンカした後とか、よく こうやって仲直りしたね。」

「おっまえ、ボロッボロ泣いてたよな。」


あの頃の早苗を思い出して、映樹がププッと吹きだすと、早苗はむぅっとむくれる。


「えっくんだって泣いてたでしょーっ。」


確かに、もらい泣きの様に泣いた記憶もあるが。

そんな恥ずかしいコト。


「覚えてねー。」


穴を掘って埋めるにかぎる。


もうっ、と拗ねる早苗を見ていて、映樹はようやく、自分の心が落ち着くのを感じた。


春が来る、なんて物は言い様だな。

妙に納得してしまう。

このまま、ずっと2人で。

映樹はそう思った。



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