3人の き も ち
付録 おまけのキモチ
《伸と早苗》
ほんの一時帰国で、用を済ませたら直ぐに戻らなくちゃいけない。
と穂杉君は言った。
「ちゃんと顔見て、話した方がイイと思ったんだ。」
そう誘われて。
昼休み、中庭で2人きり。
「高原さん落ち着いたね。…俺が言うのも、なんだけど。」
一息ついてから、また穂杉君は、
「映樹の…おかげ、かなぁ。」
「そ…そうかな…。でも、そうかも。」
普通に話せる自分に、内心驚いている。
泣くかと、別れたくないと駄々をこねるかと、ずっと考えてきたのに。
何ひとつ、恨み節な気持ちが湧いてこない。
自分でも不思議だ。
「俺、これだけは言いたくて。
ちゃんと、本当にちゃんと高原さんが好きだったから。」
「うん。」
その気持ちが嬉しい、私も好きだから。
でも、お互いの好きは、きっと。
もう友情だけで出来ている。