3人の き も ち
「あの…勝手に待つって言って、困らせてゴメンね。」
「いや、勝手なのは俺だよ。ごめん。
でも俺は、高原さんの彼氏になれて、すごく良かったよ。」
そんな風に言われて、ちょっぴり涙が出そうになる。
もう、戻りたいなんて思わない、し、思えない。
私達、きっと良い方向に変わったんだよね。
そう思うと、自然に笑顔が浮かんだ。
彼は、もう行くね。と言って手を差し伸べてきた。
握手して彼を見上げる。
ずいぶん背も伸びて、雰囲気も変わった穂杉君。
ああ、大好きだったな、と。
ただそう思う。
あ、そうだ。
手を離しながら、何か思いだしたらしい、彼は小声で。
「映樹はお買い得だよ?」
イタズラっぽく笑って。
真っ赤になってしまった私に手を振ると。
穂杉君は立ち去って行ってしまった。