3人の き も ち

穂杉君は誰とでも、仲が良い。

ただ、小さくてかわいいって言われるとすごく怒る。
走るのも速いし、バスケットも上手。


気付くと、いつも彼を見ている。


他の子と話している姿を見ると、胸が苦しくなる。
ちょっとでも笑ってもらえるとすごく嬉しい。



だから今日もよそ見して、廊下の壁にぶつかってしりもちをついた。

「い…いたぁーい。」

「やだ、大丈夫?何度目よ、毎日毎日…。」

あゆなちゃんが呆れ顔で私を立たせてくれる。

ぶつけた肩を擦って、教科書を拾おうとしたら、遠くに飛んだ私の筆箱を持った穂杉君が近づいて来た。


「高原さん、大丈夫?」

「うっ、あっ、うあありがとう。」

…変な受け答えになってしまった。
どうしよう…。


くす

「気を付けなよ?」


穂杉君が去った後、あゆなちゃんを見ると、小さく笑われたねって言われた。

うん…笑われた。
呆れられたかな…変な子だって思われたかな…。



ポカ

頭を軽くたたかれた。
振り向くと宮越君が立っていて。

ふう、ため息をつく。


…もしかして…。


「なんで壁にぶつかってんの、いーかげん避けろよ。」


呟くように言うとさっさと歩いて教室に消えていった。


「色々見られてんじゃんね。恥ずかしいねー。」


私達の横を通りすぎる、同じクラスの津久井君にまで笑われた…。



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