3人の き も ち
「だから言ったでしょ! 人に向けて使ったら危ないって!」
「だっ…だって! オレ人狙ってねーし!穂杉が勝手に入って来たんだけど!」
「……」
あゆなちゃんに怒られて、西島君はうんざりって表情をする。
閉まったドアを狙った西島君と、そのドアを開けてはいって来た穂杉君が、全く同じタイミングで。
他の人は大笑いしている。
「ところでよ、アレ何?」
そう言って、西島君は穂杉君のカバンに視線を送る。
私の隣に座る穂杉君が自分の後ろを振り替える。
ドキッとして、鎖骨辺りまで伸ばした髪の毛を結ばないで良かった。と思った。
だって少し下をむけば、赤い顔を隠せるから。
「ああ、映樹に渡してくれって。」
「へぇ、…じゃあ、あのビニール袋は?」
カバンの側の紙袋と透明なビニール袋。ビニール袋には小さな小袋がいっぱい入っているのが透けている。
「なんか、ついでにって貰った。」
「ついでに?」
「貰うと友達になるんだって言ってたけど…、よくわからない。」
うわっすげぇモーションだな
オレ、いらないって言ったんだけどなぁ
何人くらいきた?
否応なしに耳に入る男子の声。
聞きたく、ない。
手が、震える。
他に穂杉君のこと好きな子がいるって考えるのも、辛い。