3人の き も ち
このメンバーの中で私の気持ちを知ってるのは、あゆなちゃんと津久井君の二人だけ。
弥生が「モテている」って言ってたのを思い出した。
…辛い。
好きって気持ちは、楽しいだけじゃないんだ…。
辛いことも、あるって、……今、知った。
他の女の子と、付き合っちゃったら……。
考えたら涙が溢れそうで、顔が上げられない。
「具合悪いの?」
穂杉君が覗きこむ様に聞いてきた。
ドキッとするけど、返事ができない…。
首を横に振るのが、精一杯で…。
「そ、そういえば早苗ってば調子良くないって言ってたでしょう!」
「あっ俺も聞いたっけっ!」
突然、あゆなちゃんと津久井君が大声をだす。
ビックリして顔を上げると津久井君が、
「穂杉、送ってやれよっ。」
「え?」
「帰る方向が同じなの、こんなかでお前だけだろう?」
そう言われて穂杉君は何を思ったのか、私の額に手をあてがってきた。
自分でも更に赤くなるのがわかった。
心臓の音が教室中に響きそうな位ドキドキしている。
「本当だ、ちょっと熱いかな。」
「高原さんのカバン貸して?」
穂杉君はあゆなちゃんから私のカバンを受け取ると、立ち上がって自分の荷物を肩にかける。
「歩ける?…じゃあ、行こうか?」
うなずいてゆっくり立つと、そっと腕を支えてくれた。
「先に帰るけど、俺何もしてなくて悪いね。後、いい?」
「片付けるだけだし、いいよっ。ちゃんと送ってあげてね。」
あゆなちゃんに促されて教室を出る。二人は優しい顔して手を振ってくれた。