3人の き も ち
一瞬、水を打った様に教室が静まり返る。
「…なんで?」
「だってこの間、一緒に帰ったって聞いたぜ?」
「ああ…。具合悪いって言うから。」
「ホントにそれだけかぁ?」
ざわつく教室を物ともせず、軽くため息をついて、穂杉君は、
「当たり前だろ?映樹が娘みたいに大事にしてんだ。親友の俺が気にしないでどうすんだ?」
ケロッとした表情で、穂杉君がそう言った。
「それとも、具合悪いの知ってて、ンな、くだらねー事言われたくないって、友達をホットクの?お前?」
自分より背の高いクラスメイトを見上げ、視線を逸らす事なくキッパリ言う穂杉君に、言われた当人も、クラス中もグッと詰まっていた。
からかい半分だった空気が急にピンと張る。