3人の き も ち
テスト一週間前は、部活も休みに入る。
だからこの時期だけは高原と一緒に下校できる。
それにどっちかの家で勉強することもあるし、今日も帰り際、解らない所を教えて欲しいと、言われたので、そのまま高原の家へお邪魔する。
彼女の部屋に上がるのはこれで2度目。
美術部の彼女の部屋は特徴的。
部屋の中は画材道具が3分の1程占領していて、それでも整理されている。
狭くてゴメンねと謝られるが、女の子らしく、可愛い小物やぬいぐるみなんかも置いてある。
小さいローテーブルに向かい合い、お互い解らない所を教えあって、2時間近くは集中していたけど、…さすがに疲れた。
「ちょっと休もうか?」
そう言って。飲み物を持ってくる、と彼女が部屋を出た後、フラフラ立ち歩き、彼女の描きかけの絵を覗く。
もっぱら風景絵の多い中、ふと目についたスケッチブックを立ったまま開くと、この家の庭に佇む1人の人物の絵。
いわゆるラフ画とかいうヤツらしく、ザクザクした感じの色のない絵。
けれども一目で描かれた人物が判る。