3人の き も ち
「礼!」
「ありがとーっざぁーしたぁっ!!」
キャプテンの合図に部員全員で挨拶する。
「よーし1年は片付けー!おい、映樹こっち来ーい!」
「ハイ!」
2年に進級して5ヶ月程たった初夏。
大会もあるし、練習も一段と厳しくなった。
映樹は次期主将候補として、キャプテンの補佐に付かされている。
俺はといえば、準レギュラー組からも落ち、他の奴等と一緒に1年達と床ふき等をする。
悔しいが、俺が部内で一番背が小さい。
「おい、伸タラタラしてんな。」
…してないっつーの、ったく、こいつは…。
映樹のキツい言い方に、側にいた1年がビクッと怯える。
相変わらず口がヒドイ。
普段が丁寧に話す奴だけに、知らない者は本当に驚くらしい。
映樹は、気心の知れた相手だと容赦無い言葉使いになる。
俺は慣れてるけどね、それにしたって…。
「優しく言ってクダサイ、宮越先パイ。」
皮肉を込めて言うと、
「うっせーよ。あ、川村君ボール残ってるよ。」
後輩に優しく声をかけ、映樹は取り残されていたボールを拾って後輩にそっと投げ渡す。
…ホントに…
「扱い違いすぎ。」
「お前だし。」
「こらっ!ジャレてんな!」
決まってキャプテンに2人そろって注意されて部活を終える。
ほぼ日課の様なやり取り、俺はイヤじゃない。