3人の き も ち
ほぅ…
ため息をして、弥生がススッと目の前に立ち、映樹は顔を上げる。
「私はキャプテンに幸せになって欲しい。もちろん早苗にも。」
穏やかな表情で話す弥生に、内心驚いて言葉も出ず、映樹はじっと彼女の目を見る。
その瞳はもう、怒りが消えていた。
「後悔しない?」
後悔?
後悔ならもうしてる。
これ以上は――
「ない。しない。」
「もしこれで二人が付き合っても、いいのね?」
「だから頼んでる。」
「…わかった。」
静かな声で了承の言葉を告げると、弥生はヒラッと手を振って教室の方へ歩き出した。
予鈴までまだ時間はある。
映樹は体の向きを変えて窓枠に両肘をつくと、窓から広がる青空を眺めた。